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玉越アカデミー校長室 Vol.13
相模湖
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バスフィッシングを始めた頃に通っていた湖といえば津久井湖、そしてもう一つが相模湖です。
津久井湖はオカッパリ(ボート屋さんが出来るまでは)
相模湖はボート釣り
とはっきり分かれていていました。
当時、相模湖はバスのいる湖として芦ノ湖についで有名でしたが、バス釣り人口そのものが僅かでしたから他のバスマンに会うことは皆無でした(休みが木曜日ということもあって)。
相模湖のバスはアメリカの軍人さんが芦ノ湖で釣ったものを近くでも釣れる様にと密かに放流した。という説と、アメリカから軍用機で立川か相模原の基地に空輸して放流した。という説があって私の周りでは後者の説が体勢を占めていたと記憶しています。津久井湖へは相模湖のバスが放水時に落ちて増えていったと言われています。
中央線の高尾駅で中央本線の各駅に乗り替えて長いトンネルを過ぎた一つ目が相模湖です。駅前は小さなロータリーになっていて正面の道を真っ直ぐに進み国道を渡ると右にカーブして直ぐに今度は左へ大きくカーブしています。そのカーブを回りきったあたりに右下へ下りる小道があってそれを降りてゆくとボート屋「五宝亭」の近道となっていました。
相模湖と言えば「巨ベラ」が有名で「五宝亭」の店内にもそれはみごとな巨ベラの魚拓が何十枚も貼ってありました。その中に明らかに体型の違う立派な魚の魚拓があり、良く見ると「ブラックバス53cm」と書いてあります。暫く見とれていると、
「おい!兄ちゃん、ブラックかい?」
と親父さんから声がかかり、
「はい」
と頷くと傍らの若い衆に目配せしてから
「あ〜そのブラックな、うちの息子が釣ったんだよ。フラミンゴってやつでな」
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「フラミンゴ持ってるか?シルバーだぞ!」
「はい。持っています。」
「こないだの日曜日に息子が1本上げたが今はどうか分んねえな〜、まあ〜やってみな」
「はあ〜」
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ってなやりとりをして桟橋へ降りて行くと、若い衆がすでに船を用意して待っていてくれました。
乗り込むと直ぐに船首のロープをエンジン船に結んでスタート、対岸にある青田のワンドまで引き船をしてくれました。ボートはヘラ鮒用の底がフラットな作りで安定は良いのですが漕ぐには重くて大変でしたが、そのおかげで大分腕の筋肉も鍛えられた気がします。
左右の間口の広いワンドを入ってゆくと右側から半島のような出っ張りがあり、その先で右に大きく曲がっています。そして両側が岩盤へと変化するのですが、その辺りが私のお気に入りポイントで、特に右に曲がった右岸の岩盤の手前に小さな凹みがあって何故かそこではかなりの確率でバスを手にすることが出来ました。
勿論「フラミンゴ」ではありません。毎回ボート屋さんに「フラミンゴ、フラミンゴ」と言われて持ってないと煩いので持つようにしていましたが、始めから余り使う気は無く使うのはもっぱらプラグと決めていました。
釣り方はこうです。
まず「マーベリック」を岸ギリギリにキャスト。
暫くポーズを取ってから、竿先をチョンと煽ってルアーをダイブさせ、次に竿先をチョンチョンと煽りながらリールを巻き1mぐらい動かしたらストップ。
ルアーは体をクネクネさせながら水面直下を泳いでスゥーと水面に浮上します。 |
ゴールデンアイの、名作プラグ「マーベリック」
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ヒットするのはこの水面に浮上する瞬間に「ギラッ」と来て水面が割れることが最も多いのです。
これって、今で言う「トップウォーターミノーイング」とか「ウェイキング」にあたるものだと思いませんか?
私自身は見よう見まねで色々な事をしながら釣っていて、ある時、ただ巻いていたのを、チョンチョンと煽ってから止めた時にたまたまバスが食いついたのが切っ掛でこの方法を多用することになり、さらには当時勤めていた西武デパートの釣具売り場でお客さんにこの方法を伝授!
彼らの釣果報告を聞いてさらに自信を深めていったのです。
今は、多くの雑誌やメディアで釣り方の情報も溢れているので、ビギナーでも使い方を知った上で釣りをしている方も多いのですが、それで釣れないと
「このルアー駄目」
となって次のルアー・・・という図式も多いようです。
相模湖では大漁という記憶はありません。バスを釣り上げたことより、アブレた方が多いでしょう。
でも試行錯誤しながら色々とプラグを動かしているその行為が楽しかったのです。だからたまに釣れる1匹はまさに宝物でした。そんな日は青田のワンドから湖を横断して「五宝亭」へ重いボートを漕いで帰ることがちっとも苦にはなりませんでした。
相模湖へは一人で行くことが多かったのですが、数を競うということでは無く、ルアーで釣りをする。と言う行為そのものが楽しかったので、余り苦にはなりませんでした。
ただ、釣りをしながらバカッ話をする相手が居ないのは寂しかった思いがあります。これも楽しみの一つでしたから。
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